宿命？

独身の女が公園に居る親子を見て泣くなんて
普通じゃありえないだろう。
失恋でもしたのか？とかんぐられるくらいに
その時の私は泣いた。一人で。

＊

うちの家系は子宝に恵まれない。
生まれたって早く死んでしまう。
今じゃ長期に渡る不妊治療でこの世に生を受けた
私のいとここそぴんぴんしてるけれど
それまで唯一の子どもであった私だって、
昔は相当病弱で生死をさまよいまくってた。
そう、この歳まで生きてるのが奇跡ってもんだ。

そんな宿命のようなジンクスを潜り抜けて
今まで生きてきた私が
ジンクスに負けて泣いた。

ワタシハ　コドモヲ　ウメナイノ？

突然、ジンクスが1つの可能性になった。
その可能性の宣告はあまりに厳しすぎた。

うららかな昼下がり
秋空の青の中キラリと光って飛ぶ白い飛行機
きゃっきゃとうれしそうに笑う子ども

その日、私はただ
先日なんとなく病院に行き受けた検査の結果を聞きに行っただけなのに

＊

なんとなく、うっすらわかってはいた。
なんとなく、覚悟はできてた。

そういう家系に生まれた女として
興味があったから卒論で研究もした。

でも受け入れるには
心の準備がまだだった。

机上の論理と生身の人間の心は
所詮違うのだ。

こんな私を
誰がもらってくれるんだろう？

そんな考えがぐるぐるぐるぐる

自暴自棄にならぬように
そんな毒素を全て出し切るために
流せる涙は全て流した。

これから新しい幸せの形を探すために
負けないよ、私。
負けるな！